茨城県・大洗町。海に向かって開けたこの町の磯浜町に、燻舎(くんしゃ)の工房があります。つくっているのは木田龍介さん。看板は、5種類のナッツをじっくり燻した、琥珀色のミックスナッツです。
以下の経緯は、木田さんが2021年に地元メディアの取材で語ったものです。
父が好きだった、煙のにおい
燻舎のはじまりは、木田さんのお父さんでした。父親が燻製好きで、自分も小さい頃から食べていた。それがきっかけだと木田さんは話しています。燻製は、暮らしのなかでそう頻繁に出会うものではありません。けれど木田さんにとっては、子どもの頃から食卓にあった、身近な食べものでした。
お父さんには、いつか自分の店を持ちたいという夢がありました。木田さんは、それを手伝うくらいのつもりでいたそうです。そのお父さんが亡くなり、夢を継ぐというわけではないけれど、これを機に自分でやってみようと決めた。それが燻舎の始まりです。
水戸で暮らす木田さんが大洗を選んだ理由は、2つあると言います。昔から大洗が好きだったこと。そして、お父さんが大洗に眠っていること。
その後、大洗町商工会の創業セミナーに参加したことで、燻舎は本格的に動きはじめました。
「科学チック」に、しない

煙の中のカシューナッツ、アーモンド、ピスタチオ。
燻舎の燻製の特徴は、煙を浴びせる時間の長さです。燻製はどうしても煙が出るので、飲食店で長い時間をかけるのは難しい。その結果、短時間で仕上げた物足りないものが多い——というのが木田さんの見立てでした。だから燻舎は、長時間、高い温度で煙を当てます。
ただ、長ければいいという話でもありません。やりすぎると煙たすぎて「科学チック」な味になってしまう、と木田さんは言います。的確な言い方だと思いました。煙をかけすぎた食べものは、香りが香りでなくなって、薬品のような後味に変わります。
おいしさの手前で止めるのではなく、行きすぎの一歩手前で止める。その一点を、試作を重ねながら温度と時間で押さえている。工程だけ書けば、チップを焚き、煙を当て、時間をかける——三行で済みます。けれどその三行のあいだ、ずっと人が張り付いている仕事です。
なぜ、最初がナッツだったのか
燻製にできる素材はいくらでもあります。そのなかで第1弾にナッツを選んだのは、まず王道から始めようと考えたからでした。そのうえで、いろいろな店を回って食べてみたところ、しっかり煙をかけたナッツが意外と無かったのだそうです。
王道を選び、その王道に空いている穴に入る。派手な話ではありませんが、ひとりで始める人の、いちばん堅い一手だと思います。
半熟と、燻製を、両立させる
ナッツのあとに商品になったのが、半熟の燻製卵です。半熟のままで燻すのは簡単ではありません。しっかり煙を入れようとすれば火が入り、黄身は固まってしまう。とろりとしたままで、香りだけを入れる。燻舎はこれを、研究の末に成立させたと紹介されています。
魚のジャーキーも試しているそうです。海の町だから、魚にはこだわりたい。新しい特産品にしていきたい——ハードルは高い、と正直に付け加えながら、木田さんはそう話していました。
めっけMONでお預かりしているもの

燻舎 -KUNSHA- 燻製ナッツ 100g/40g
5種類のナッツを燻して、落花生油で仕上げたミックスナッツです。原材料・賞味期限・保存方法、それに合わせたいお酒のことは、商品ページにまとめてあります。
ナッツと落花生油を使っています。アレルギーのある方は、商品ページの表示を必ずご確認ください。